8/12/2009
エピローグ2 航海の代償
8/11/2009
エピローグ1 老いと旅
8/10/2009
そして月曜
8/09/2009
8/9/2009 感謝
8/08/2009
8/8/2009 150マイルを切る
です。
あと150マイルを切りました。
昨夜から強風下にあり、なんとか耐えてきたのですが、ここで2ポ
イントを入れました。
何事もなく到着できますように。
TOMO from iPhone
8/07/2009
8/7/2009 アプローチ
一瞬にして温まり、そこに吹き込む風は、どんな冷房装置よりも心地良さ
を与えてくれます。
あと300マイルを控えて、クルー全員がこれまでの疲れを取り、思
い思いの時間を過ごしているのです。
風は、北からの風で安定し、海面はさしたるうねりもなく、穏やかです。
クルーの一人がこう言いました。
『今日の天気は、懐かしい運動会の日の天気だなあ』と。
記憶と現在が交錯します。
TOMO from iPhone
8/7/2009 あと300マイル台
昨日落ちていた風が夜半から戻ってきたので、夜間は快適にアビームで8〜10ノット(SOG)の帆走となりました。途中からどんよりした霧も晴れ、ワッチ明けの先ほどには、久しぶりの青空が覗いています。
そして今の時点で到着まで362マイルのところまでやってきました。このままのペースだと9日に到着となる状況です。
8日は強い風が吹く予報が出ているので、リアルタイムでのアップデートはこれが最後かもしれません。電話がつながる状況になれば、時間は前後しますが、その時々の出来事を細かくアップデートしていきたいと思います。
本当にもう少しです。
8/06/2009
8/6/2009 まだゴールはしてないが
スコに到着するでしょうか。
そんな状況の中で、今回の旅をふりかえると、
1)すごくよく知ったという訳ではない方々とのセーリング行
2)実は初めてナイトセイリング
3)全てのクルーが人生の大先輩
4)無論最長のセーリング
5)そして久々の完全日本語圏生活
6)衛星通信を駆使した同時中継型ブログ更新
などなど、初めての事だらけでした。
どれをとっても中々の事であり、私の人生に深く刻まれた事でしょう。
特に、人生の先輩を前にして色々な話が聞けたのは大変面白いものでし
た。
たくさん書きたいことがあって、頭を振ったりして忘れることのないよう
にしないと。
TOMO from iPhone
8/6/2009 サンフランシスコを前にして
ました。今日はあいにく、風が落ち、小雨まじりの状況でしたが、機帆走
と帆走でついに500マイルを切りました。
天気予報によれば、明日まで風が落ちたままのようですが、8日に
はベイにむかうには絶好の風がふくようです。
9日午後の到着を目指して、最後まで気を抜かずの航行が続きます。
今日の朝ご飯 オムレツとベーコン、パン 堅実
昼 卵、玉ねぎ入りラーメン 気ままな味 しかし、人
のこころを捉えて離さない
夜 野菜多めの味噌汁とタイカレー こだわり感じるね、でも
味噌汁よりはトムヤムクンの方がよかったかな
TOMO from iPhone
8/6/2009 東進あと500マイル
東に進み始めてから、大変良好な北風のおかげで、昨日までで相当距離を詰めてきました。サンフランシスコまであと500マイルの位置に到達しています。
今日は明け方から少し風が落ちていたのですが、ジブをはり、なんとか航行スピードを保って東進を続けています。
クルー全員一丸となって、8日深夜か遅くとも9日にはサウサリート到着を目指して最後の集中をしています。
8/6/2009 ジブを出してゲイン
ランを出して来ましたが、予報通り早朝から風が落ちて来たため、ジブを
出しました。Hさんの念入りなハリヤードチェックのあと出してみ
ると、アビームの風を受けた船は、再び8ノット台にスピードを戻
しました。メインのみとでは2ノット以上の差があります。
TOMO from iPhone
8/05/2009
8/5/2009 アビームランでSFへ
昨日夕方にジブをおろし、メインセールで帆走中です。
北風が定まってきたので、アビームにて7〜10ノット(SOG)で東進しています。
電力温存もあり、リアルタイムでのアップデートもここまでですが、このまま行けば9日か遅くとも10日にはサウサリート到着の見込みです。
8/04/2009
8/4/2009 備え
38度到達後、昨日から北風をとらえはじめ、現在ほぼ東に向けて進んでいます。フォアステーは、今回出航時から1本でしたので、現在、破損後は複数のハリアードで補強をして凌いでいます。
本日早朝より、ジブもはり、東に向けて9ノット(SOG)程度で進んでいます。風もだんだんと北風に近づいてきており、アビームでの安定した航行に入りつつあります。
さまざまなリスクファクターを考慮し、燃料を温存するため、PC作業も一日一回に集中しておこなうことにしました。
なんとか、これ以上の破損がなく、順調にサンフランシスコへの到着を祈るのみです。
8/03/2009
8/3/2009 北風のかけらをひろい、ついに東へ
昨夜からずっと北上を続け、時ある毎に、東に向かう機会を伺ってきましたが、ついに38度を超えたところで、そのきっかけをつかみ東に針路を取り始めました。その時間、午後2時ごろです。
残り1000マイル圏に入り、これからアビーム気味での帆走を進めていきますが、昨日のフォアステーが壊れたことで、ハリヤードをつかってジブをあげている状況です。フォアステーのなくなった分を穴埋めするため複数のハリアードで引っ張っているので、タックのためにはジブセールを前まで持って走ることが必要となり、なかなか骨の折れる作業です。いずれにせよ、船体をいたわりながらの旅が続きます。
今日の朝ごはん 天然酵母パン(メロン)とポタージュスープ いやはや生真面目
昼 カップ焼きそば 天真爛漫な味
夜 中華丼の予定 アラカルトとしては美味か
8/02/2009
8/2/2009 再び北北東に
午前のトラブル後、さまざまな方角で安定した風をもらいながら距離を稼ぐ方法を模索してきたのですが、結局38度線まで上がり、そこから高気圧の右側で吹く北風をもらおうという当初の作戦に落ち着きました。
全体行程としては予定よりも早い状況です。
さて、緯度が36度を超えてくると、暑いなかにも何か余裕が出てきます。適当な温度と適当な湿度、これが人間を快適な状態にさせてくれることが実感されます。
一方、空、海の色もなんとなく変化してきています。空は真っ青から水色へ、海も同じようにブルーから濃紺へ。
色と感覚、自分の居場所にあわせて変化していきます。
今日の昼ごはん 軽めにカップ麺消費(きつねうどんか山菜そば) 食欲旺盛です。
8/2/2009 トラブル第二弾
朝からジブを上げ帆走を開始していましたが、午前7時ごろ、フォアステーが飛んでしまいました。マストトップ側でワイヤが切れてしまったものです。
ジブをたたみ、フォアステーが失われたことによるマストへのテンション低下を補うため、ジブハリヤード、スピンハリヤードと計4本を使ってテンションを補います。ランナーやバックステーも調整し、なんとか復旧。
ジブはおそらくこの後は使わず、メインセールをいたわりながらの航海となると思います。
幸い、後半の行程に入り、アビーム気味の風が多くなるので、なんとかなると考えています。
今日も、Problem Solvingを体験しました。
今日の朝ごはん 天然酵母パン(チョコレート味)と味噌汁 やはり生真面目な味です。
8/2/2009 ロングトリップの魅力
風がまだ弱く、機帆走中です。しかし、東風が徐々に北東に変わりつつあり、しばらく進めば、北北東の風となって安定した帆走が期待できる位置にたどり着いたようです。時折、雨が降る状況ですが、まだそれほど寒くはなく、夜中のワッチも凍えることはありません。
今日の風のシフトは、Expeditionとそのデータソースとして使っているSaildocのおかげ。Hiroさんが、レース用にPCにインストールされたものをそのまま利用しています。
このExpeditionの使い方についてはまだまだ熟知することが必要で、機能の一割もわかっていないのですが、天気予報と船の性能を考慮したベストルート予測や、画面表示のUIの秀逸性など、まったく初めて触れている私にもわかりやすく、そして高い確度でこれからの航海にむけた指針を与えてくれます。
今日のウインドシフトもあらかじめ、3日ほど前から読んでいたことで、ここまでぴたりとあたると非常に気持ちがよく、ロングディスタンスでのNavigationの重要性を実感します。
では、また午前4時のワッチに備えて眠ります。おやすみなさい。
8/1/2009 近い将来のために
高気圧の中心が広く、まだまだ風が安定しないため、機帆走を続けています。ただ、そろそろ高気圧中心を今夜半にも脱し、ウインドシフトが進むことで、そろそろ北北東の風を受け始めて、アビーム気味の快適な帆走に移行できると踏んでいます。
さて、3日前くらいからベタなぎの中にいたわけですが、こうした中で目に付いたのが漂流する多くのゴミでした。スクリューに引っかかったのも投棄された漁網でしたが、こうした漁業用のものに加え、洗剤や食品用のプラスティックボトルや梱包用のケースなど、さまざまなものが漂流しています。
一方、CO2エミッションが地球温暖化の大きな原因になっているという趣旨の下、多くのクリーン/グリーンテクノロジー開発が行われています。電気自動車やソーラー発電、バイオ由来原料による非石油原料化など、その開発プロジェクトは多岐にわたっています。
仕事柄、こうした新しい技術開発には直接接しているのですが、先日、地球温暖化の原因は、CO2エミッションにあるのではなく、人口増加にあると指摘する学者の論説を読みました。科学的な因果関係から見れば、なんとなくCO2エミッションの方が地球温暖化をきちんと説明しているような気がしますが、なんらかのアンバランスや天体としての地球の持つ長期的な気候変動が地球温暖化といわれる現象を起こしているとするのであれば、人口増加こそが環境変化・悪化の直接原因だということを統計資料や科学的推論に基づいて説明していました。
私自身は、テクノロジー進化によるさまざまな開発行為に対して好意的な姿勢を持っています。何でも昔のほうがよかったとは全く思いません。しかし、目の前にある太平洋のど真ん中で主を失った洗剤容器が漂流し、朽ち果てた後に、水底に沈んでいく様子を見ると、人口増加によって地球がもはや狭くなってしまい、自分達の製造・開発したものの管理が出来なくなってきていることを実感します。
CO2エミッションが云々という前に、やはりself-sustainableというものについてよく考えることが大切です。欲望による陣取りゲームの結果、勝手に自滅してしまうことを避け、愚かしい消費行為には強い自制心で望む必要があるでしょう。
そんなことを考える夜のワッチでした。
8/01/2009
8/1/2009 使命のひとつ
今日も晴天が続きます。昼間に一度ジブアップしたのですが、風が落ちたので再びメインセールのみで機帆走しています。今夜には風が北東に回り始めるという予報がでています。
機走でも6ノットは確保できるので、やはり日程的には短縮される方向です。
今回の回航に与えられた使命のひとつとして、蓄えてあった食料品を消費するというのがあります。レトルトカレー、炊き込みご飯のもと、カップ麺、缶詰等、かなりの備蓄食料を如何においしくいただくか、これが今後の行程で特に意識されることです。
冷蔵庫の故障のため、野菜としてはたまねぎとジャガイモくらいが残っているくらいですので、あとは、ケンケン釣りでマグロを期待しつつ、創造的な目インディッシュを開発していきたいと考えています。
写真は、アクシデントのない本日、風にはためくMさんの洗濯物と、クルーM'sの西日に参るの図です。
本日の晩御飯 レトルトカレー、高級缶詰を添えて こうした航海でもっとも真骨頂を発揮するのだと思います。
8/1/2009 帆走再開
高気圧の中にすっぽり入ってから、まる二日以上が経っています。
ようやく、東風のきっかけみたいなものが、入り始めたので、1時間ほど前から帆走を開始しました。
せいぜい5〜6ノットの風ですが、潮が押してくれるのもあって、大体5〜6ノット(SOG)で移動しています。夜半からはこの風が北東に変わるエリアに入り、そこを我慢して突き進めば、北風となってアビームランに入ることが出来るようになります。
35度を超えましたが、まだまだ暑く、真夏の景色です。 写真は再びお昼寝モードのクルーM'sです。
昼ごはんは 明太子スパゲッティでした。 ニッポンの味、です。
8/1/2009 日の出
先ほど、午前4時からのワッチを終えました。
風の状況は依然として無風に近い状態です。
今日の午後から高気圧の右側に入り始めるので、少しずつ北風を受けて、アビーム気味に帆走できるようになるかもしれません。
出発してから、日が出てくるのは午前5時台だったのですが、今日なんとはなしに時計を見てみると午前4時半くらいには明るくなりだしています。
東に進み、どんどんと日の出のタイミングが早まっているのですね。
時差の変化を体感する一瞬でした。
今日の朝ごはん 天然酵母パン(メロン)とポタージュスープ 実に実直な味です。
8/1/2009 見えてきたもの
機帆走が続いています。約6ノット(SOG)を確保しながら東北東に針路をとっています。
さきほど、航海も8日目に入りました。回航は旅です。私にたくさんのことを教えてくれています。
さきほどワッチが明け、次の(午前4時から)ワッチにむけて、これから寝ます。おやすみなさい。
7/31/2009
7/31/2009 晩餐
今日午前中に釣り上げたしいらは、結局ムニエルとズケとなり、本日の晩餐に供されました。全員一致で美味の一言です。
明るい日差しの中ではやめに食べる夕食は、とても印象的なものとなりました。
写真は今日の食卓!
7/31/2009 ちょっと気晴らしに
今日、ボーっとビデオを撮影していたら、Hさんから、『マスト登ってみる?』とのオファー。
なんでも、上から見ると地平線が丸く見えるらしい。
でも、『今日は曇ってるからなあ』
と、そのときは次回持ち越しのコメント。
で、午後になり、晴天になって、お願いし、快諾!!
早速上ってみました。手元がふらついてカメラを落としそうになったので、短いですがビデオ撮影を試みました。
約6ノットで航行しているので、マストヘッドは前後にピッチングを起こしています。おそらく1〜1.5mくらいはピッチングしているのではと思います。
添付しようと思ったけど、容量でかすぎ。また、港についてからアップします。
7/31/2009 昼寝
朝昼兼ねたトーストとスープを食べた後も機帆走続行中です。
漁網がひっかかったように、この周辺はごみが集まってきています。ちらほら、ブイのようなものや、船具のようなものが浮かんでいるのが見えます。
今日は朝から曇りがちで、時折、雨雲の下を通過すると、霧雨程度のシャワーが降っていましたが、先ほど、一気に晴れ間がもどり、バースで寝ていたクルーも甲羅干しにでてきました。
今日は、航海後初めて、他の船(貨物船)を見かけることもありました。あと目的地サンフランシスコまで1370マイル。航海は続きます。
写真は、クルーM'sのお昼寝状況です。
7/31/2009 Problem solving とProject Management
上弦の月が大変明るく、ワッチの時に楽しみにしている星空もあまりよく見ることができなかった昨夜。機帆走だし、とにかくボーっと考えていました。
ふと、昨日あった出来事を思い出し・・・。
プロペラに漁網がかかったらどうするか?という問いには答えられる人は多そうですが、原因究明、そして迅速な解決をするにはどうやったらよいか、については、対処できる人の数はぐっと少なくなりそうです。
正直なところ、今回の回航でとても印象的なのは、私の人生の先輩方がすべて、何かの問題にあたった時、対処と始末をきちんとつけられることです。
事前にきちんと計画を立て、戦略的に物事を進めようとするプロジェクト的な方法は、最近の自分の仕事やプライベートでも多用している方法です。こういう方法が身につくと、自分の思っていた以上のことが実現できることを実感しています。
日本には、職人というカテゴリーがあります。ドイツのマイスターとも、アメリカのスペシャリストやエキスパートとも少し違う感じがします。
プロジェクトマネージメント的な方法で物事を進めるのはとても気持ちいいものです。しかし、一歩何か問題点をおざなりにしてしまったり、実際に物事を進めるときのシミュレーションが甘いと、途端に機能しなくなってしまいます。
人の含蓄とは、トラブルシューティングにあり。そんな言葉が、月明かりとともに頭に浮かびました。
7/31/2009 本日の釣果
ベタなぎは気象予報どおりに継続し、ずっと機帆走を続けています。さすがに夜のワッチも寒くなってきました。バースで寝るときにも、寝袋の中に入るようになっています。
さて、今日も朝からケンケン釣りです。今日こそはマグロ、と思いながら早朝から糸を垂らします。
そして、完全に夜が明けた午前8時。仕掛けが沈むのが確認されました。
引き上げるときからわかっていたのですが、結果はしいら。
すぐに、血抜きをし、さばきます。
新鮮なので、まずは一口刺身で。さらに、今日のご飯ではムニエル、明日はズケが供される予定です。
高気圧の中にいるため、少しペースが落ちていますが、ショートカット作戦に出ていますので行程自体は短縮される方向にあります。
写真は、朝5時過ぎの夜明けと、刺身になったしいら、です。
今日の朝ごはんは、トーストとスープ。 生真面目な味です。
7/30/2009
7/30/2009 ベタなぎの夕食
出航してから6日目です。さすがに、ドライアイスも氷もなくなり、生鮮食品を在庫一掃しながら、食料消費をしなくてはなりません。
機帆走で、丸一日進む今日は、そんな食材処理にはうってつけでした。
晩御飯のメニューは、コンソメ仕立てのごった煮風と贅沢に五目御飯の素を使った炊き込みご飯。あたり見回してまったく陸のないこの場所。小さな小船の上で、4人で楽しい夕食でした。
写真のリクエストにおこたえして、今日の晩御飯と昼間の一風景を添えます。
7/30/2009 ちょっとセンチメンタルジャーニー
直線距離にして約1500マイルを残す高気圧のど真ん中。
はじめの4日間は、ジブを上げたり下げたりしながら帆走し、存分に高速艇であることを楽しみました。昨日の途中から、機帆走へとシフトしています。
風が落ちると、方向はオートパイロットが決めてくれるし、たまに局所的におこるウインドシフトを見るくらいで、大してやることもなく、海と空と太陽に自分の身を委ねるのみです。
雲は頭上にはひとかけらもなく、周囲の水平線から湧き上がっているのみ。
太陽はまんまるなまま、ちょうど頭の上を通過し、午後7時あたりの夕焼けを準備するかのように少しずつ高度を下げています。
海は子供の頃、家の前の湾内の夏休みを想起させる、鏡のような反射を見せてくれます。
こういう時間はなぜか、彼方で起こっている喧騒や、心の中で去来する葛藤が頭をもたげてきます。そんな心模様に自分の未熟さを切に感じます。
そんな気持ちを克服するための準備を怠ってきた自分には、こうした時間は、どんな応えを返してくれるのでしょうか。
Mさんは示してくれました。自分に嘘をつかないことだよ、と。そして、今の姿なら、何をやったって大丈夫さ、とも。
朝4時には起き、ラジオ体操は欠かさず、朝食を食べたら、近所に出かけたり、登山や、寺社仏閣めぐり、そして昔からのなじみと酒を酌み交わし、好きな麻雀に興じる。家にいれば、午後6時半から晩酌をはじめ、奥さんのお手製の料理を肴に、したたかに酔ったら、床に就く。
久々に、あまり見ることのできない風景の中に委ねられて、人の幸せとは、そして自分はどこに行き着こうとしているのか、を静かに、理性的に、しかし情熱的に見定める時間になっています。
7/30/2009 海に思う
しかし、こんな中にいて、さまざまな気持ちが去来します。
前にも書きましたが、悩んでいること、踏ん切りがつかないこと、そして答を出したくても出せなかったこと、そんなものが、この青空を見上げていると浮かんできます。
汗かいて、きちんとセールトリムして・・・、ってやればそれで忘れるのかもしれませんが、むしろ、こうした無為の世界の中に自分を置いていると、『禅』の境地に至るのかもしれません。
幸い、今回のクルーは皆さん、すべて私にとって人生の先輩です。この方たちのこれまでの生き方をいろいろ聞いていく中で、私自身、こうすべきなんだ、答えが導かれることを期待しています。
私は私で、今自分がシリコンバレーで体験していることを伝え、それぞれの方々に何か新しいものが、目的地サンフランシスコにあることをわかってもらえればと思っています。
全視界、入道雲の太平洋に思う。
7/30/2009 しいら釣れる
前の記事にもあるとおり、ベタなぎの状態の中、北東に向かい機走中です。船の上には真っ青な空、360度水平線付近には入道雲、と、まるで夏休みの宿題のような光景のなか、クルー4名は、思い思いに時間をすごしています。
そんななかHさんが取り出したのは、ケンケン釣りの仕掛け。海面をはねるように走る魚に似せたものの先にさらにルアーをつけ、スターンから流します。
バシャバシャと水面を切りながら走ること、30分後。
左手から、スーッと走ってくるものが仕掛けに近づいたと思ったら、そのとき!
仕掛けは、急に水面下にもぐり、なにやらその先に魚影が。
引き上げてみると、しいら!
あまり積極的に引き上げることもなく、ばらして、次の獲物(マグロ)をとるために現在も続行中です。
昼ごはんは、結局スキップでしたが、晩御飯は、おでん風ごった煮。
ごった煮はうまいと思います。
7/30/2009 北東に針路を取る
今日の漁網の解消では、M本さんがまずもぐり、荒く網を取りました。次にHさんが、網が取れた後に楽にプロペラに行きつけるように、もやいを船底を通すためにもぐりました。最後にM澤さんが、プロペラに巻きついた網を取る作業。
お?私は? 一所懸命に確保作業を行っていました。M澤さんの次にもぐる準備はしていたのですが、出番なし。
最後に片付けを懸命にやって、なんとか終了。都合、4時間にわたるスタッキングは事なきを得ました。
エンジントラブルに見舞われたときには、このあとどうなることかと心配しましたが、なんとかなってよかったです。
冷蔵庫も壊れているので、とりあえず腐りそうなものは、先に消費する食生活。
まだまだ暑い外にあっては、カキ氷が似合うくらいなのですが、そういうのはサンフランシスコについてからの楽しみということで。
今日の朝食 キャベツ、たまねぎ、ベーコンの炒め物とトースト
やるやんか。
昼食 おそらくスキップ
夕食 贅沢にレトルト増量の炊き込みご飯(予定) こうした中にあってもプロブレムソルビングというものは大事なものです。
7/30/2009 トラブル発生
昨夕から風が落ちたため、機走にしておよそ7ノット(SOG)で北東に進行していました。海面はまったくうねりもなく気持ちのよい機走だったのですが、ワッチ中に、『スーん』とエンジンが停止。
スロットルを触っているわけでもないのに、『何が起こったのだろうか』と思うばかり。
状態を確認し、エンジンフードをあけ、さまざまな箇所を点検。表面的にはおかしなところもなく、クラッチレバーやスロットルレバーを確認することに。
結果、ニュートラルに入らないこと。スロットルも前進側には開けられるものの、後進側には開けられない。また、ニュートラルっぽいポジションもなにか変な感じ。
いろいろ確かめているうちに、スターン側にぷかぷかと浮かぶ漁網。
『これだ!』と全員の意識が一致。それからは、順番にもぐり、プロペラに巻きつく漁網を切って切って切りまくる。3人目のMさんのがんばりで、結局ほとんどの部分をとりきり、これにて解決。4人目にノミネートの私は結局、もぐることなく、船上で確保作業に終始。
結局、約4時間を費やし、問題解決。現在も機走にて北東に航行中です。
7/29/2009 北緯32度通過
北緯32度を超え、夜はけっこうすずしくなってきました。
機走でも軽く6〜7ノットを稼ぐことができるので、北上ルートをとらずに、貿易風の弱まりを見て東向きに針路を取ることで、結構なショートカットになりそうです。
今晩のワッチでは、ホットカルピスをいただきました。
7/29/2009
7/29/2009 ついに機走開始
この風の弱まりは相当時間続きそうですので、この時間を一気に利用して、ショートカットを目指す作戦です。
ちなみに今日の晩御飯は結局、ひつまぶしでした。のりをちらし、わさびを添えて食べると結構美味でした。これで大体、早く食べないといけないものは消費した感じです。
これからは、カレーなどのレトルト食品や、ラーメンやアルファ米などのドライフーズ、ご飯にお茶漬けといった、どうみても『セイシュンの食卓』的なメニューのオンパレードです。
今日の感じは、なんとなく、『ヤング、オー、オー!』です。
7/29/2009 贅沢な午後
午後3時半の段階で、北緯31度半くらいまで到達しているので、今日のランは相当延びるでしょう。
緯度がたかくなってきたこともあり、日差しがなんとなくやさしくなってきました。摂氏37度ながら、湿度が35%程度まで下がり、思い思いに洗濯物干しなんかをしています。
私も、バースの浸水で濡れたマットがようやく乾き、セーリング5日目にして始めて、自分のバースで眠ることができそうです。
午後からビールをあけて、Mさんの昔の仕事の話でいろいろと持ちきり。時代の移り変わりと、そのときにMさんが感じてきたことなんかを聞くと、とても興味深いものです。
今日の昼ごはん スキップ(ジュースなんかを飲んだくらい) 味があるなあ
晩御飯 ほぼ鰻柳川風で決まり 個性が卵で融和されます
7/29/2009 この海の中で
幸い、現在までのところ初日の夜以外は、天候も安定し順調に距離を稼いでいます。
今回の旅は、自分にとって期せずして、いろいろなことを考えるための時間になっています。今年の始めにチャンスをいただいた時には、思いもしなかったようなことがあり、自分にとって、太平洋を見渡しながらの航海は自分にとっての経験に加えて、大きな一歩を踏み出すためのステップにもなりそうな気がします。
海はあまりにも大きく、それに比べて自分の頭の中で悩んでいることはあまりに小さいことが実感されます。大きな突発事項が起こっていない今回の旅は、自分にとってもっとも大切なものがなにかを教えてくれる旅でもあります。
ちょっとセンチメンタルになった。29日の昼間でした。
天気予報からは、やはり今後風が落ち、だんだんと北風モードに入っていきます。風が弱くなった時点をいいタイミングでとらえれば、かなりの距離を稼げると思います。すでに船はほぼ北東に向かいつつあります。
7/29/2009 ジブアップ
11ノットくらいの風に落ちてきたころあいをみて、1日目夜半におろしたジブをあげました。一時、SOGで5ノットくらいまで落ちていましたが、ジブを張ってからは一気に10ノット台で快走です。
緯度も31度を超え、暑さもだんだんとしのぎやすくなってきています。
昨夜から、まったくうねりのない非常に穏やかな海を疾走しています。
落ち着いた夜。月明かりに照らされた船体と水平線、そして空に散りばめられた多くの星。
後方をワッチしながら見ていると、ちょうど左肩の後ろから上方をとおり、目の前まで続く天の川。
見ているだけで心が穏やかになっていきます。
出発前にあったいろいろな懸案事項も、心の中でいつの間にかシンプルなものとなり、結論を急ぐでもなく、すなおに答えに結びつこうとしているのがわかります。
なぜ人は、余暇をとらなければならないのか。そんな簡単な質問にも答えられなかった自分としては、ほんの少しですが大人になったような気がします。
今日の朝ごはん 卵、ベーコン、トースト ステーブルな味わい
昼 まだ不明 今日はちょっとお疲れ気味な感じかも
夜 鰻をアレンジした丼(柳川風、それともひつまぶし風?) なにやら味わいが出てきました
7/28/2009
7/28/2009 北緯29度通過
昨晩はスコールに見舞われたため、朝からキャビンの床も随分湿っていましたが、今日一日の快晴のおかげで、すっかり乾きました。
浸水した私のバースのマットレスも、なんとかあと一歩のところまで乾きつつあります。
天気予報からこのまま北進しているうちに、高気圧が南下し、風向きが早い段階で北からの風に変わりそうな状況です。北緯35度までの北上を待たずに、風が弱まり、方向が定まらぬうちにショートカットし、アビームポジションに入る公算が高くなってきました。
ここのところ、Mさんのデイリーライフのことをいろいろ伺い、なかなか面白いなあと感心しています。最近、ちょっと日本建築に目覚めた私としては、連れと一緒にいろいろな寺社仏閣を巡る旅に出たいなと思うことしきりでした。
太平洋の真ん中にある、4人だけのLeglus共和国という感じで、そろそろ日常化しつつあります。ちなみに今日の晩御飯は鰻丼です。圧力鍋の扱いにもそろそろ慣れ、パーフェクトな鰻丼が食卓に並ぶのはあと1時間後でしょう。
今日の朝ごはん 結局、スクランブルエッグ、ベーコンとクロワッサン 意外とやるなという味
昼ごはん スキップというか、ビールやお菓子 いろいろと忙しくて大変
晩御飯 昼からスライドして鰻丼 なんかこういう回航にはしっくりしている感じ
7/28/2009 北進中
すでに北緯28度は超えており、順調に北上中です。貿易風はさすがに強力で、そうはやすやすと東に進むことは許してくれませんが、天気予報によると30日くらいにかなり緩むので、このままのペースで北上を続け、風が緩んだところで一気に北東に舵を切ることをオプションで考えています。
さて、さすがに4日目にもなりますと、全員の立ち居振る舞いも板についてきます。詳細はさておき、まあそれぞれのキャラクターが十分生かされているものと思います。
今日の朝ごはん 特に食べていませんがMさんが出してくれたチョコレート2個 ちょっと疲れた感じ
昼 うなぎ丼の予定 睡眠十分な味を期待
晩 未定 人懐こい側面のある味を期待
7/27/2009
7/27/2009 Day3 好天と朝食
8時になると、気持ちのよい風を浴びるため、クルー全員が外に出て、今日の様子を確かめ、今日の一日に何か祈りを込めているようでもあります。
日が昇りきり、暑くなる前にコーヒーが飲みたいなあ、なんて言ってたら、Hさんが、コーヒー淹れるよといってくださり、朝7時には理想的なモーニングコーヒー。3日ぶりに飲んだコーヒーは、体を強力に目覚めさせてくれます。
朝ご飯もHさんに作っていただいた、トーストとベーコン、そして卵、レタス。全員でほおばり、こちらもとても気持ちのいい朝食です。
その後、なぜか身の上話。それぞれの方の現在の暮らしをお聞きし、今回の回航に至るいきさつなんかをお聞きしました。なるほどー、それぞれにそれぞれの歴史あり。
今日の朝食 トースト、卵、ベーコン、レタス 人生を模索するような味わい
昼 おそらく炊き込みご飯かと 確立した味。五目らしい味わい。
夜 まだわからないですが軽くかと どこに何があるのか、わかってきた。
7/26/2009 満天の星
海はうねりも少なくなり、昼間は依然と続く日差しと気温に悩むほどの時間となっています。
甲羅干しをかねて昼間に出ていたら、服は乾くものの日焼けがひどくなり、夜になってから顔や腕が火照ってしまいました。日焼け止めを塗ってもそうですから、きわめて強い紫外線を浴びているのでしょう。
さて、昨日とは打って変わり、大変穏やかな夜です。どんどんと空がクリアになり、星の数が増えていきます。天の川は本当に嬉しいくらいくっきりと見え、進行方向にある北斗七星も煌々と光っています。星を眺めていたら、Hさんがドーナツを差し出してくださり、夜食としてパクリ。おいしかったです。
天気予報からは、だんだんと風が東向きから南向きに変わっていきます。しばらくこのコースを走って、6日後くらいにはだんだんと東に針路を取っていくことになりそうです。
今日の朝ごはん オレンジ 非常にまじめな味
昼 ラーメン(卵、たまねぎ入り) いつ食べても美味しい
夜 私はスキップしましたが、クロワッサンと牛乳 意外に味がある
7/25/2009
7/25/2009 不安定な始まり
その後、PCチェックをして衛星通信システムが機能するかどうかを
かくにんします。
動作するように設定を変え、これでブログのアップも可能な状態にしまし
た。
朝10時には出発可能な状態となるも、予定を共有出来ていないの
で、無駄に時間が過ぎます。
ようやく出発かと思っていたら、昼ご飯が食べたいと言い出します。結
局、今ハーバー近くのパブでピザを頼んでいるところです。
いやはや、どういうもんだか。
中々個性派の皆さんがこのあとどんなパフォーマンスをみせることか。
朝ご飯 ちょっとくせが。
昼 安定した味
晩 あいかわらずはっきりしない味
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今どこにいるのですか?
7/24/2009 課題
余りに予定を上回る飛行機の遅れで、迎えもうまくいかず、シャトルバス
でなんとかヨットクラブ近くのホテルまで行き、そこから船まで荷物を引
きずりなんとか到着です。
クルーの皆さんとお会いし、これからの航海をはなそうと頑張るも、どう
も皆さん、ちょっと違う感じ。
いつものシリコンバレースタイルと随分異なる、訳の分からぬ空気が漂っ
ています。
海だけに世界に出る訳ですが、どうも人口4人の星の住民でもある
ようです。
今日の朝ご飯 コーヒーのみ あんまりうまくない
昼 スクランブルエッグとフルーツ 変わらずうまい
夜 居酒屋でいろいろ コストパフォーマンス低し
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7/24/2009
7/24/2009 出発
に必要なものはなにかを見極めるには、そこで出会う環境を五感で想像
し、その想像と快適な状態との間を埋めるための具体的手段を理論的に導
き出すことが必要だと感じます。
ギリギリの時間の中でなんとか導き出した荷物は安全を見て大きくなりま
したが、なんとか荷物としてまとまりました。
4時過ぎにベッドに入り、5時には起き、バスタブに浸かって、ゴシ
ゴシと体を洗いました。
少し興奮気味なのでしょう。全く眠気を感じません。少しの水を口に含
み、できるだけ洗濯物を残さぬよう、洗濯機を回します。
小さな鉢植えには、多目に水をさし、この静かな生命にせめてもの言い訳
をします。
冷蔵庫の生ものを処分し、ゴミとしてまとめます。
愛する人にはせめてもの言葉を伝えようと、できるだけ多くの文章を認め
ておきます。日時を指定して送信するのです。
開くときの気持ちを想像しながら。
7時前になり、近所に住むN君に電話を入れ、迎えにきてもらいま
す。
空港までの道のりは、朝の混雑が少しずつ始まり出した101N。道中
は、最近お父上を亡くし人生の節目を受け止めているN君が、軽快
に、でも非常にクリアな決断を聞かせてくれました。
空港に到着。気取らずに、荷物共々チェックインカウンター近くにおろし
てもらいます。さりげなさは、友情の表れ。本当に温かさを感じます。
さあ、チェックインで大きな荷物を預け、セキュリティへ。
旅が始まります。
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